菅江真澄は、『来目路の橋』で、松本市に鎮座する須々岐水(すすきがわ)神社に「もろつまの須須岐(薄・ススキ)」があることを書いています。同時代の『信府統記』では「片葉の薄」を挙げていますから、葉が片側に並んだススキをイメージします。
しかし、現地で見たのは普通のススキでしたから、かつてはそのような変異種があったと考えました。
居多(こた)神社の駐車場から境内に向かうと、『親鸞聖人越後七不思議 片葉の芦』がありました。
すゑ遠く法を守らせ居多の神
弥陀と衆生のあらん限りは
「片葉のススキ」が気になっていたので、「片葉の芦(アシ)」に興味を持ちました。「ススキとアシの違いを述べよ」と言われても困りますが、「片葉」はイメージとしてわかります。
しかし、ごく普通の姿で風になびいています。「すでに過去の名称になり果てたか」と思いましたが、一本ずつ観察していくと、「片葉」がありました。
写真では葉が重なって見分けが困難なので、「中央の一本に陽を照り返している葉が片葉」と説明を入れました。
こちらは、その亜種とも言える同方向(V字)に延びた葉です。「強風でこうなる」との話もありますが、現地は一般的な道路沿いなので、そのためとも思えません。
ここまで書いている中で、菅江真澄が言う「もろつまの須須支」は「両妻のススキ」で、建築用語にある「妻とは、袖・脇・端などの側面」から、この形状が当てはまるのではと思いつきました。改めて当時の写真を見直しましたが、間隔が空いた細い葉では断定にまでは至りませんでした。
越後国一宮は弥彦神社onlyと思っていましたが、最近になって、天津神社・居多神社を加えた三社があることを知りました。その居多神社ですが、境内にある雁田(かりた)神社を参拝するのが目的だったので、紹介は写真のみとしました。