小淵沢町誌編集委員会『小淵沢町誌 下巻』〔風俗信仰〕から、[道祖神信仰]の一部を転載しました。
マーキングした部分と北杜市指定文化財に釣られて、道祖神を拝観しました。
八幡神社の境内は敷地全体を使ったゲートボール場で、10人くらいの年寄りが歓声を挙げています。挨拶しながら、ライン代わりのロープを踏まないように、小さくなって拝殿に向かいます。衆人“監視”ですから、参拝が目的でなくても拝礼するしかありません。
余所者としての手続きを終えたので裏に廻ると、たくさんの石祠や馬頭観音などが種別にまとめられています。今は見捨てられたという存在に加え日陰という場所ですから、陰気くさいと言うしかありません。ゲートボール場を確保するために、すべてをここに追いやったのではないかと疑ってしまいました。
持参のメジャーで、高さ79cmと測りました。
町誌の写真では判別できなかったのでマジマジと注視しますが、男根と言えるモノはありません。それを目当てに来たのではありませんが…。
次の行為として10センチくらいの穴を覗きますが、真っ暗で何も見えません。カメラを向けてシャッターを半押しすると、測距用のイルミネーターが顔を赤く浮かび上がらせました。フラッシュの出番ですが、発光源がカメラの左側なので穴の縁が陰になり部分的にしか写りません。
時々、社殿の向こうから歓声が伝わってきます。長居が過ぎると不審者に思われそうなので、境内のあちこちを写真に撮るふりをして戻りました。神社の境内を借用しているのなら、お礼に裏の草取りでもしたら、とあくまで立ち寄り参拝者の目で小言を書いてみました。
何枚か撮った中で最良の二枚を紹介します。男(女)神は、久しぶりに覗かれてうれしかったのか、ニヤニヤしているように見えます。女(男)神は、突然の訪問者に驚き、手で顔を隠すことができないので、そっぽを向いたように思えました。
「道」の「首」の部分だけを切り取ったものです。これを見ていて、突然、何十年ぶりかに「左カーブ右カーブ・真ん中通ってストライク・応援団長フーワフワ(※長野県松本市バージョン)」を思い出しました。子供の頃覚えた絵描き歌ということは置いて、つまり、女陰を表していることに気が付きました。『小淵沢町誌』では「男根が」と書いていますが…。
現地を探訪した者としては、『小淵沢町誌』の説明は納得できるものではありません。何かないかとネットで探してみると、北巨摩郡市町村文化財担当者会『pdf 八ヶ岳考古 平成11年度年報』がありました。報告書とあって改行がない文は読む気を失わせますが、取りあえずマーキングした部分だけを読んで下さい。
こちらの方が的確な表現であるのは、言うまでもありません。それに沿って見直すと、まさしく「祖の字の且を男根形に書いている」ことが理解できました。しかし、「下部の穴」については、中沢厚氏は「空洞」としているので、『小淵沢町誌』の「石像が納められている」とは差が出ました。
調べて、基本の書体は篆書体(てんしょたい)と知りました。それを創意工夫し、わかる人にはわかると刻んだのでしょう。ネットで探すと各地に類例がありますから、考えることは皆同じとなりました。